「パレートの法則」を知っていますか?
パレートの法則とは、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した法則のこと。経済活動において全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという説のことで、「80:20の法則」、「2:8の法則」と呼ばれることもあります。
なんとなく聞き流していたこの法則、改めて知ると、身の回りや仕事においてなんと「腑に落ちる」ことが多いことか。「80:20」の法則を知ることで、仕事も人間関係も劇的に変わるかもしれません。ぜひ「知って」マインドセットやセルフマネジメントに活かしてみてくださいね。
Contents
パレートの法則とは?
パレートの法則とは、1986年にイタリアの経済学者 ヴィルフレド・パレート(Vilfredo Federico Damaso Pareto)が論文で提唱した、「物事を構成する要素が全体に占める割合はかたよりがあり、複数要素のうち一部で全量の大部分の割合が占められている」という考えのこと。
具体的には、社会全体の上位2割の(富裕層)が世の中の富の8割を保有しており、逆に8割の低所得者層は社会全体の富の2割しか占めていないと言われています(「8割」や「2割」といったキーワードから、「80:20の法則」、「2:8の法則」と呼ばれることも)。
売上の80%を生み出しているのは、20%の顧客だという考えのもとになった法則です。心理学的な要素があるのかと思いましたが、経済学者が提唱したものだったんですね。
わかりやすく言うと、『2:8の法則』とは、「ほとんどの現象には、〔2:8〕程度のばらつきがある」というもの。
現在では、経済学だけでなくビジネスでもマーケティングでも幅広く活用できる法則であることがわかっています。
『2:8』の法則は例えばどんなこと?
- 商品の売上の8割は、全商品のうち2割の銘柄が生み出している。
- 企業の売上の8割は、全体の2割の顧客が生み出している。
- ソフトウェア利用者のうち8割は、全機能のうち2割しか使わない。
- 物事の本質の8割は、2割を見ればわかる。
- 全所得の8割は、人口の2割の富裕層が持つ
- 100匹のアリのうち、よく働くのは2割だけ。
このように、多くの現象が、自然と 2:8 程度にばらける。私たちの生活のさまざまなシーンに存在している概念で、これが『2:8の法則』と言われるものです。なんとなく、そう言われれば・・という感じですね。
『2:6:2』の法則はパレートの法則の派生系!?
『2:6:2の法則』を耳にしたことはありますか?
- 上位2割:実績・生産性が高く積極性に優れた優秀なグループ
- 中位6割:上位にも下位にも属さない平均的なグループ
- 下位2割:実績・生産性が低く積極的に行動しないグループ
平たく言えば、「優秀な人2割」「普通の人6割」「パッとしない人2割」。人々が集団やグループを構成した場合、自然発生的に2対6対2の内訳になるという法則。
『2:6:2の法則』は、提唱者や発見者の名前が大々的に謳われていないことや、営業支援・人材育成といったビジネスシーンで多用される点からも、「パレートの法則」の派生、拡大解釈といった流れの中で生まれた、現代風の「経験則」であるというのが一般的な解釈のようです。
実は、この『2:6:2の法則』こそ、上手く取り入れれば、ビジネスや人間関係を劇的に変化させるキーワードです。
わかりやすく納得のアリのお話を見つけのでご紹介しますと
一般的に働き者の印象が強いアリ。
でも実際には、2割程度のアリはフラフラと遊んでいると言います。
そこで、この怠け者のアリを集団から排除してみると、怠け者不在で全員がせっせと働くものかと思いきや、しばらくすると、残ったアリのやはり2割程度がさぼり始めると言われています。
逆に、文字通り働いている上位2割の働きアリだけをかき集めて、1つのスーパー集団を作ってみます。それこそ、すごい勢いで仕事をしそうなものですが、やはり時間とともに2-6-2が形成され、一部が怠け者に変身するそうです。
出典:http://netacon.net/neta/368177324.html
人間に例えると、
- 金持ちの球団やクラブチームが、金にモノを言わせてスーパーチームを結成。でも優勝できない。
- スター選手を引き抜かれたチームから、新たなスター選手が芽を出す。
出典:同上
アリも人間も同じく『2:6:2』の法則は働くということですね。
以前に「自己肯定感」についてお伝えした記事で「優秀な子の集団に我が子を放り込むと成績下がる」「偏差値が高い学校に入ると学力が伸びるは間違い!?」をいう事をお伝えしました。
ギリギリの学力の子どもを精鋭のグループに入れても、『2:6:2』の法則の下位の2割に入ってしまう という法則にも関係がありそうです。
『2:8』『2:6:2』は自然の法則
『2:8の法則』そこから派生した『2:6:2の法則』は自然の法則で、逆らえない原理のようです。逆に、逆らえない法則だと「腑に落ちる」と仕事や人間関係に劇的な変化が現れます。
ビジネスシーンも「2:6:2」で変化する!
ある会社の社長さんが、コンサルタントに「優秀な人材を採用しても採用しても職場がよくならない。」と相談を持ちかけました。
すると、コンサルタントは「ダメな人も入社させてみなさい」と驚きのアドバイスをしたそう。「ダメな人」を雇用してみたところ、社員たちに一体感が出てきて、みるみる会社が良くなった!というのです。『2:8の法則』に逆らわないことで、バランスが良くなって、うまくいくのだそうです。
人間関係も「2:6:2」が腑に落ちれば劇的に楽になる!
2:6:2の法則は、自然の摂理。そう腑に落ちると、人間関係が劇的に楽になります。
「イヤな人」・「嫌いな人」・「自分と意見の合わない人」を、「反対側の人」に変えられるからです。
10人のグループがあって、自分と意見が合わない人がいても、気にすることはないんです。あなたと合う人が2人いたら、あなたと合わない人も2人いて、どっちでもいいなと感じる人が6人いるのが当たり前・・そんな風に考えたら、無駄に落ち込んだり、無駄にぶつかることも自然となくなります。
『2:6:2の法則』を知っていれば、何の利益もない討論や言い争いに、無駄なエネルギーを使うことはなくなりそんなもんだと割り切ることができるように変わります。
また、「100点!完璧!」を自分に求めても、相手に求めてもしんどくなりますが、80点を目指すとしたらどうでしょう。相手のことも受け入れやすく、ありのままの自分も受け入れることが少し楽になると思いませんか。
まとめ
『2:6:2の法則』を理解すれば、もう無駄に落ち込んだり、無駄なエネルギーを遣うことなく、人間関係は劇的に変化します。肩の力を抜いて少し楽に生きられますよね。ビジネスの効率も格段にあげることが可能になります。
ただし、気をつけたいこともあります。最小限の労力で最大限の成果を生み出し、効率的に生きていく。そのためのセルフマネジメント方法として、パレートの法則は非常に有効です。
ただ、何事も8割を目指すような人は、プロフェッショナルの分野では大成しません。プロスポーツ選手を思い浮かべてみてもそうですが、プロと言われる人たちは、他の人が立ち入れない「あと20点で満点」という領域に労力をつぎ込み、トップを守ることでプロとして存在しています。
ビジネスも同じ。専門力で生きるなら、その先の100%を目指してこそ手に入れられるもの。
パレートの法則の活用によって生まれる時間や体力の余裕を、自身のさらなるレベルアップに活かすという活用の仕方でプロをめざしてくださいね。