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母子家庭を支援する手当や助成金のまとめ!利用できる減免や割引制度とその注意点とは?

投稿日:2019-05-29 更新日:

娘が1歳のときにシングルマザーになり、もっとも大きかったのは将来の経済的な不安でした。そんな中、子どもを保育園に預けて働き、シングルになって3年目にはマイホーム購入。国や、市区町村の制度を最大限利用、活用させてもらってこの春、子どもを大学に進学させました。

ただ、制度はあっても、申請しないと受けれない支援や制度がほとんど。しかも役所の方も、尋ねれば教えてくれるけど、向こうからすべての案内をしてくれるわけではないんですね。

今回は、母子家庭を支援する手当や助成金についてできるだけわかりやすくまとめ、利用できる減免や割引制度やその注意点についてもお伝えします。 

自分で調べる、自分で情報を集める、自分で行動を起こすことの大切さを身にしみて感じてきました。この記事がそんなシングルマザーの方に少しでもお役に立てればと思います。

母子家庭を支援する手当

母子家庭の方が少しでも安定した生活を送るために、手当や助成を活用することはとても重要です。国や地方自治体から受け取れる手当にはどのようなものがあるのか、主な手当・助成金をまとめてみました。申請が必要なもの、継続して手当を受けるために継続の認定が必要なものが多いので、しっかりと調べておきたいところです。

1.児童手当

児童手当は、母子家庭に限った支援策ではなく、全ての家庭を対象とした支援策です。児童手当は、子供がいる家庭の生活の安定に寄与することと、次の社会を担う子供の健やかな成長を支えることを目的に、国から支給される手当です。0歳から中学校卒業までの児童を養育している方に支給されます。

支給対象

中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方

支給額

  • 0歳〜3歳未満:一律15,000円
  • 3歳〜12歳(小学校卒業)
    第一子/二子:10,000円 第三子以降:15,000円
  • 中学生:一律10,000円

※児童手当には所得制限世帯が設けられており、年間の所得が約960万円を越える世帯の子供に対しては、支給金額が5,000円とされています。

支給時期

支給は年間3回行われます。毎年6月(2月〜5月分)、10月(6月〜9月分)、2月(10月〜1月分)という割り振りです。居住地の市区町村にもよりますが、支払い月の12日頃に指定した口座に振り込まれます。

児童手当の支給を受ける上での注意点

  • 認定請求(申請)の注意点
    • お子さんが生まれたり、他の市区町村から転入したときは、現住所の市区町村に「認定請求書」を提出すること(申請)が必要です。
    • 原則として、申請した月の翌月分の手当から支給されます。
    • ただし、出生日や転入した日(異動日)が月末に近い場合、申請日が翌月になっても異動日の翌日から15日以内であれば、申請月分から支給します。(15日特例申請)
    • 申請が遅れると、原則、遅れた月分の手当を受けられなくなりますので、ご注意が必要です。
  • 続けて手当を受ける場合の注意点
    • 6月分以降の児童手当等を受けるには現況届の提出が必要です
    • 現況届は、毎年6月1日の状況を把握し、6月分以降の児童手当等を引き続き受ける要件(児童の監督や保護、生計同一関係など)を満たしているかどうかを確認するためのものです。提出がない場合には、6月分以降の手当が受けられなくなりますので、ご注意ください

また、母子家庭の方が結婚を機に氏名が変更した場合や、転居した場合にも届け出が必要となります。もし転居先が元の居住地の市区町村外であった場合は、転出した日の次の日から数えて15日以内に、必ず転入先で申請を行わなければなりません。

万が一、15日以内に申請が行えなかった場合は、残念ながら遅れた月分の児童手当の支給は行われないので注意が必要です。

2.児童扶養手当

児童扶養手当は、国が支給行っている制度で母子家庭及び父子家庭を対象としています。母子家庭及び父子家庭になった原因は離婚でも死別でも、理由は問われません。児童扶養手当の額は、物価の変動などによって変動します。また所得によっても支給額がかわります。

支給対象者

母子家庭及び父子家庭の、0歳〜18歳に到達して最初の3月31日までの間の年齢の子供が対象です。

支給される金額の算定方法

児童手当と同様に扶養人数や所得によって、支給金額が異なるので注意が必要です。支給区分は「全額支給」「一部支給」「不支給」の3区分に分かれています。

平成30年8月分から、支給制限に関する所得の算定方法が変わっています。

厚生労働省:「児童扶養手当」についての大切なお知らせ

児童扶養手当の月額

一部支給額は、所得額や扶養親族等の人数等によって決定されます。そのため、それぞれの方の状況により異なります。計算式は以下の通りです。

児童1人の場合の手当額=42,900円-(申請者の所得額※1-申請者の全部支給所得制限の限度額※2)×0.0229231 (10円未満四捨五入)

児童2人目の加算額=10,130円-(申請者の所得額-申請者の全部支給所得制限の限度額)×0.0035385(10円未満四捨五入)

児童3人目以降の加算額=6,070円-(申請者の所得額-申請者の全部支給所得制限の限度額)×0.0021189(10円未満四捨五入)

※1 この金額は、収入から給与所得控除等の控除が行われ、養育費の8割相当額が加算された額です。
※2 所得制限の限度額は、上記の通りです。
※3 手当額は、物価スライドにより変更となる場合があります。

支給時期

2019年11月分からは、「児童扶養手当」が年6回払いになっています。「児童扶養手当法」の一部を改正し、2019年11月分の児童扶養手当から支払回数を〈4か月分ずつ年3回 〉 → 〈2か月分ずつ年6回 〉に見直します。つまり、2019年11月分からは、奇数月に年6回、各2か月分を受け取れるようように変わります。

受給を継続させたい場合は、毎年8月に児童扶養手当現況届を提出する必要があります。

3.児童育成手当

18歳まで(18歳になった最初の3月31日まで)の児童を扶養するひとり親家庭が対象で、児童1人につき月額13,500円が支給されます。所得制限があります。また自治体によって内容が異なりますので、お住まいの自治体で確認してみてくだい。

4.母子家庭の住宅手当

母子家庭の住宅手当とは、母子(父子)家庭で20歳未満の子供を養育しているケースで、家族で居住するための住宅を借りて、月額10,000円を越える家賃を払っている人を対象としている制度です。

この制度は市区町村独自の制度であるため、制度を持っていない市区町村もあるので、あなたの居住地の市区町村では適応されるのかどうか調べる必要があります。

5.母子家庭(ひとり親家庭)の医療費助成制度

保健の向上、生活の安定、福祉の増進を図るため、ひとり親家庭の母又は父及びその児童(注)等に対し、医療費の一部を補助します。 (注)18歳(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)以下の者。助成の内容も、条件となる所得制限も市区町村によって異なるので、居住地の制度を確認しましょう。

支給対象者

母子(父子)家庭で、0歳〜18歳に到達して最初の3月31日までの間の年齢の子供が対象です。所得制限があります。

例えば、広島市ですと、市が交付する「ひとり親家庭等医療費受給者証」と健康保険証を医療機関の窓口に提示すれば、無料で診療が受けられます。子どもだけでなく、親も無料なので非常に助かりました。(ただし、県外等で受診した場合には、窓口で自己負担分を支払い、後日所定の用紙※により市に請求してください。)

受給者証の有効期間: 1年(原則として、7月末まで)で毎年、更新手続きが必要です。 

6.特別児童扶養手当

特別児童扶養手当とは、国が支給を行っている制度です。母子家庭に限った手当ではありません。20歳未満の子供で条件を満たしていればすべての家庭に支給されます。所得制限があるため、該当する金額を自身で把握するようにしましょう。

母子家庭が利用できる減免や割引制度とその注意点とは?

お金がもらえる制度ではありませんが、母子家庭が利用できる減免や割引制度があります。自治体により内容が異なりますし、自ら申請しなければ使えない制度もありますので、お住まいの自治体に、自ら確認してみることが大事です。

主な減免制度・割引制度は以下の通りです。

1.寡婦控除(かふこうじょ)

夫と死別、または離婚した場合で、再婚していない方の場合、所得税や住民税の計算上、寡婦控除を受けることができます。

寡婦控除の対象となる人の範囲

  • 夫と死別し、若しくは夫と離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人です。この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。
  • 夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人です。この場合は、扶養親族などの要件はありません。
    (注)「夫」とは、民法上の婚姻関係にある者をいいます。

また、子供を養育している場合は、「特定の寡婦」としてさらに控除を受けることができます。

控除の額

  • 一般の寡婦 27万円
  • 特別の寡婦 35万円

控除を受けることができるということは、その分、所得税や住民税が安くなるということです。

注意ポイント

一般の給与所得者の場合、会社で年末調整をすることで所得税や住民税の計算をします。会社に寡婦控除の計算をしてもらえるよう会社には、事前に自分が母子家庭であることを伝えておくか、会社に提出する「扶養控除等(異動)申告書」において、「寡婦」または「特別(特定)の寡婦」の欄に〇をつけて提出することを忘れないようにすることが大切です。

2.電車やバスの割引制度

児童扶養手当を受給している母子家庭、父子家庭の方(所得制限あり)にはJRの通勤定期代が3割引で購入できるなどの割引制度があります。また、公営バスが無料や割引になるといった制度もあります。このような交通機関への割引制度は各自治体やバス会社などが独自に設定しているため、制度の有無や該当条件などはお住まいの自治体で確認してみましょう。

ちなみに広島では「児童扶養手当の支給を受けている世帯に属する方が旅客鉄道会社の通勤定期乗車券(鉄道のみ)を購入する場合、3割引の特定規則が適用されます。」となっています。また東京ですと、生活保護や児童扶養手当を受けている世帯の中で1人に対して、都営交通(都電・都バス・都営地下鉄・日暮里・舎人ライナー)の全区間の無料乗車券が発行されています。

3.上下水道料金の減免

児童扶養手当をもらっている世帯(所得制限あり)には水道料金の割引といった制度もあります。こちらも自治体により異なりますので確認が必要です。

広島では、「水道料金等の福祉減免制度」と呼んていて母子家庭以外にも対象になる世帯があります。ひとり親家庭に限って要件を見てみると以下の通り。

  1. 広島市ひとり親家庭等医療費補助の受給要件に当てはまる世帯
  2. 児童扶養手当の受給要件に当てはまる世帯
  3. 1・2と同様の事情にあると認められる世帯

我が家の例では、分譲マンションで、水道料金は管理組合取りまとめをしていますが、申し出れば、管理人などに料金のとりまとめのご協力をお願いする通知を送ってもらえます。減免は、申請に基づき行われ、さかのぼっての減免は出来ません。

4.母子家庭、父子家庭向けの粗大ごみの手数料免除

こちらも自治体によって有無はありますが、児童扶養手当を受給している母子家庭、父子家庭の方(所得制限あり)は粗大ごみの処理手数料が免除されます。該当する場合は自治体のホームページなどに詳細が載っているため確認してみてください。利用には申請が必要です。

母子家庭に限らないが減免が利用できる可能性がある制度

1.国民健康保険の減免

国民健康保険料は、前年度の世帯収入をベースに算定されますが、母子家庭になったことで世帯収入が減少した場合は、国民健康保険料が減額される場合があります。

また、これとは別に、各地方自治体において、独自の減免制度を用意している場合があります。

各地方自治体の減免制度は、自ら申請しないと減額の対象とならないため、収入が減少したときは、減免の対象となるかどうか確認することが大切です。払えないから払わないままにしておくのではなく、役所の担当窓口で相談してみましょう。

2.国民年金の免除

所得がない、もしくは少なく年金を収めることが難しいケースでは、国民年金の免除が受けられます。

免除金額

国民年金には4つの免除区分があります。

  • 全額免除
    前年所得が以下で計算した金額の範囲内であること。
    (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
  • 3/4免除
    前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内。
    78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
  • 半額免除
    前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内。
    118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
  • 1/4免除
    前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内。
    158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

国民年金の支払いが厳しいとなった場合でも、未納のままにしないで、「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きを行ってください。保険料の免除や納付猶予が承認された期間は、年金の受給資格期間に算入されます。

3.保育料の免除や減額

保育料は、前年度の世帯収入をもとに決定されます。しかし、年度の途中に母子家庭になってしまって収入が減少した場合等は、申請をすることで、次月以降の保育料を減額してもらえる場合があります。

また、場合によっては、年度の最初の月(4月)にさかのぼって減額を受けられる場合もあるので、市役所の窓口等で確認してみましょう。

2019年10月より実施される幼児教育無償化。対象は、2019年以降に3~5歳となる子ども、または0歳~2歳児の子どもを持つ住民税非課税世帯です。給食費については、施設により扱いが異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

4.大学無償化(高等教育の修学支援新制度)

実施時期は、2020年4月(2020年度の在学生(既に入学している学生も含む。)から対象)からスタート予定です。支援対象となる学校種としては、大学・短期大学・高等専門学校・専門学校が対象です。

授業料の減免の支援対象となる学生は、住民税非課税世帯及び、それに準ずる世帯の学生で、世帯の所得により3段階に分かれます。

  • 住民税非課税世帯には授業料と入学金の全額を免除
  • 年収300万円未満の世帯には住民税非課税世帯の支援額の3分の2を支給
  • 年収380万円未満の世帯には3分の1をそれぞれ支給

真に支援が必要な低所得者世帯の者に対して、

  • 授業料及び入学金の減免
  • 給付型奨学金の支給

をしてくという、2本立てで非常に手厚い制度になる予定です。

こちらも母子家庭に限った制度ではありませんが、所得制限などの状況から母子家庭の中には対象となる世帯も増えるのではないかと思われます。これまでシングル家庭で、経済的な理由により、子どもの大学進学を諦めていたシングル家庭にとっては、非常に希望の持てる制度です。
制度が無事スタートし、長続きしてくれることを祈りたいです。

5.その他の支援やサービス

  • 母子・父子・寡婦福祉資金貸付金
  • ひとり親家庭のためのしおり(母子・父子・寡婦福祉)
  • ひとり親家庭学習支援事業
  • ひとり親家庭等日常生活支援事業
  • 自立支援教育訓練給付金事業
  • 母子・父子・寡婦福祉資金貸付金償還金のWEB口座振替受付サービス
  • ひとり親家庭等居場所づくり事業
  • 高等職業訓練促進給付金等事業
  • ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業
  • 母子・父子・寡婦福祉資金貸付限度額(修学資金)
  • 母子・父子・寡婦福祉資金貸付限度額(就学支度資金)
  • 子育て短期支援事業
  • 遺族基礎年金
  • 母子家庭等就業支援事業
  • ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業について
  • 母子生活支援施設
  • 母子生活相談員
  • 母子・父子自立支援員
  • 療養援護金(ひとり親等)
  • 専売品販売
  • 公共施設内の売店設置
  • 市営店舗への入店
  • 母子家庭の母等職業訓練手当

他にも特定の自治体のみの制度にはなりますが、日帰りレジャー施設や宿泊施設の割引もあります。また自治体以外にも母子家庭を支援、応援してくれる団体などもあります。

私も子どもが小さい頃から年会費500円で会員になっていましたが、母子会などの名称で、季節の行事(野球観戦、アイススケート、バーベキュー、みかん狩り・・)など無料、もしくは安価な参加費で母子家庭の母子が参加させてもらえる団体もありました。

ひとり親家庭の母・父・寡婦の方々の福祉向上の実現を目指して活動している団体です。

また、経済的な面だけでなく、子育てに関するサポートをしてくれる制度やサービスもあります。ひとりで悩まずに、活用できる制度はどんどん積極的に活用していくといいですね。

まとめ

母子家庭の方が受けられる主な手当・助成金をまとめてみました。また、母子家庭の方が受けられる減免制度や割引制度についても取り上げてみました。ひとり親家庭の方には、児童扶養手当を始めとして、様々な支援制度が用意されていることがおわかりいただけたかと思います。

ただ、これらの支援制度のほとんどが、自分から申請しないと利用できない制度や手当です。

また住んでいる自治体にとって制度の内容が異なる場合があるので、他の市に住んでいるお友達のケースが自分には当てはまるとは限りません。自分が居住している自治体の制度について、積極的に情報収集したり確認したりしながら、利用できる制度はどんどん活用してくようにしていきましょう。

また、今回確認しただけでも、2019年10月より実施される幼児教育無償化や、2020年4月から実施される大学無償化(高等教育の無償化。正式名称は「大学等における修学の支援に関する法律」)など、母子家庭に限った制度ではないものの、子どもの教育に関しての制度は拡大・充実してきています。どんどん新しくなります。

例えば、大学無償化は2020年4月からスタートと言いつつも、その申請は2019年6月~7月には始まります。

私事ですが、娘は自分が奨学金を利用するとは思ってもみなかったようで、学校からのアナウンスをスルーしていました。同い年の子どもを持つ職場の人から、奨学金の受付が始まっていることを知らされた次第です。子どもが進路を考える頃には、家庭の経済的な事も含め、向き合って相談できる関係を築いておきたいものですね。

また、インターネットの活用や役所に出向くなどして、自分から積極的に情報収集することも大事です。利用できる制度は積極的に利用させていただいて、少しでも安心な暮らしを目指していきましょう。

この記事はサイト「カードローンの学び舎」のお金にまつわる企画部屋【お金の図書室】に紹介されました。

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