今回は「貯蓄・年金・保険」老後に困らない選択をするためのヒントをお伝えしているシリーズの第二弾!
個人年金VS個人型確定拠出年金(iDeCo)をお伝えします。個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)も個人年金保険も老後に備えるための運用という意味では共通です。しかも、どちらも「年金」ですが、実は似て非なるもの。ここでは、両者の違いを確認しながら、老後資金準備にはどちらがいいのか?またどう活用するのが有利かをお伝えます。
両制度のメリット・デメリットを理解して、老後資金準備を有利に始めましょう。
Contents
iDeCoと個人年金の違いを比較
個人型確定拠出年金 | 個人年金保険 | |
加入者 | 個人なら任意でほぼ全員 | 誰でも |
加入するところ | 証券会社が中心 | 生命保険会社が中心 |
運用する人 | 自身で運用 | 自身では運用しない |
限度額 | 1号被保険者:年81.6万円 2号被保険者:年14.4万~27.6万円 3号被保険者:年27.6万円 | 定めなし(保険会社による) |
所得控除の種類 | 小規模企業共済等掛金控除 | 個人年金保険料控除 |
所得控除額(所得税・住民税) | 全額 | 最大4万円・最大2万8千円 |
中途解約 | 原則不可 | 受取額が払込総額を下回るケースが多いが可能 |
受取時期 | 原則60歳~ | 55歳~70歳(加入時に決めた年齢から) |
受け取り時の税制優遇 | 年金受取:公的年金等控除 一時金受取:退職所得控除 | なし |
税務上のメリットが大きいのは個人型確定拠出年金(iDeCo)
個人年金保険も生命保険料控除を利用できるため、支払った保険料の一部が所得控除として認められています。ただ、税制上のメリットでいえば、個人型確定拠出年金(iDeCo)のほうがさらに強いです。
極論ですが税メリットを活かすためだけに50歳前後の方はイデコに入って運用は定期預金オンリーで保険料の控除による税メリットだけを享受することも可能ということです。
逆に小額の年金加入なら個人年金も税メリットは大きいといえます。
運用は自己責任の個人型確定拠出年金、個人年金は商品により様々
税務上のメリットは大きい個人型確定拠出年金ですが、年金受取額は確定しておらず、運用は自己責任です。
一方、個人年金保険は、確定年金の場合は年金額は確定しており安心感があることをメリットと感じる方も多いかもしれません。生命保険会社の個人年金の中にも、「変額個人年金」といって年金額が運用に応じて変動する商品もありますので、加入の際は内容をよく確認することが必要です。
個人年金が確定していて安心感があるとお伝えしましたが、現在は超低金利で、保険会社の予定利率も非常に低水準。この低水準で長期間利率を固定することがメリットかデメリットかという問題もあります。
個人型確定拠出年金と個人年金の使い分けのポイント
節税メリットや運用コストを考えた場合、老後の年金に備えるのであれば、メインを個人型確定拠出年金としたうえで、余裕や必要性があれば追加で個人年金というプランがおすすめです。その理由を挙げておきます。
個人型確定拠出年金は月額コストが定額でかかる
個人型確定拠出年金の大きなデメリットは「月額手数料がかかる」ということです。この手数料は167円~617円(証券会社によって異なる)の定額です。
その為、運用商品を安定型などを選ぶと、結果として手数料分マイナスになるケースもあります。
ここでのポイントは「定額」ということです。月額167円(年2004円)の手数料は年金資産残高が5万円なら約4%ですが、10万円なら約2%、50万円なら約0.4%、100万円なら約0.2%と低減していきます。
つまり、個人型確定拠出年金は運用残高を増やすことで手数料率を引き下げることができるわけです。なお、個人型確定拠出年金についてはその月額手数料の差はかなり大きいため、利用する証券会社は慎重に選ぶ必要があります。
逆に、個人年金は税控除(個人年金保険料控除)は小さいほど効率的
個人年金の場合、払った保険料が所得控除されるのは以下のように年間の保険料の額によって変わってきます。以下は所得税のケースですが、年間2万円までの保険料なら全額が所得控除されます。一方で8万円を超えたら控除額は4万円となり控除率は50%未満となってしまいます。
まとめ
ここまで、iDeCoと個人年金の違いを比較しながら、それぞれのメリット・デメリットを見てきました。
掛金額や運用期間、加入資格などによって、メリット・デメリットは異なります。税制メリットを重視するのか、運用を重視するのかなど、利用する目的にあわせて選択しましょう。
個人的には、iDeCo(個人型確定拠出年金)に対しては掛け金最大限で掛け、個人年金は最低額を運用するというのがオススメです。ただし、iDeCo(個人型確定拠出年金)の運用は自己責任。なにで運用しているか全く知らない!という方も結構いますが、元本保証の商品ではありませんので加入する時、加入してからも運用状況の確認が必要です。