最近はライフスタイルも多様化してシングルマザーさんも増えていますよね。我が家もシングルですが、特に子供が保育園時代には見渡すと同じシンママが多かったような気がします。
今回は、ひとり親家庭の実際を確認したうえで、意外と知らないひとり親家庭の支援・援助制度を確認しながら、「知らなかった!」「そんな制度があるなら利用すればこんなことができたのに・・!」など、後悔することのないように手続きのポイントと合わせてお伝えします。
おそらく、同じシンママだからこその気づきもあると思います。早速、確認してみましょう。
Contents
ひとり親家庭の実態!
ひとり親家庭はホントに増えてる?
厚生労働省の『平成23年全国母子世帯等調査』(以下では、「母子世帯調査」と略称する)によると、母子世帯数は124万世帯(全世帯の2.3%)、父子世帯数は22万世帯(同0.4%)で、25年前と比べ、母子世帯は1.5倍、父子世帯は1.3倍になっています。
「母子世帯調査」によると、母子世帯のなり方は、死別7.5%、離別80.1%、未婚7.8%で、約8割が離婚によるものです。
ひとり親家庭の収入の実際は
母子世帯の平均年間就労収入は192万円、平均年間世帯収入は291万円です。ただし、291万円という数値は、同居親族の年間世帯収入も含めた金額であって、母子のみの世帯では223万円。
父子世帯の平均年間世帯収入は455万円で、児童のいる世帯の平均年間世帯収入658万円と比較すると、母子世帯は44%、父子世帯は69%にすぎなく、収入面ではやはり厳しい状況にいることがわかります。
保険の仕事をしていて思うのですが、死別だと、国が遺族年金を準備していたり、生命保険で経済的な負担を減らせるというケースも多いのですが、離別の場合はどちらもありません。交通遺児や自死遺児の奨学金の制度はあっても離別を援助するものはありません。
離婚は自己責任とか、自業自得とかいう意見もありますが、離婚の理由はさまざまで図りきれない部分もあるなといつも思います。
ひとり親家庭のうち特に母子家庭の収入が低い事情
離婚などにより母子世帯になる時に、母親は、無職か非正規職の場合が圧倒的に多く、スタート時点の就労収入が低いことが理由にあげられます。母子世帯の母親の8割以上が就労しているにもかかわらず、平均年間就労収入は181万円程度です。
低賃金の理由は、日本が、先進国の中でも、最低賃金が飛び抜けて低いことです。2015年10月現在、全国平均は798円で、1日7時間、1ヶ月25日働いても139,650円。毎日きちんと勤務し、一生懸命働いても、非正規雇用で非熟練の仕事をする場合にはさほど労働収入があがらないという現実があります。
また、子供の小さいうちの離婚で再就職を求めても、子供の行事の都合、子供の体調の都合で休みやすいのではないかとの先入観からなんとなく不利になっている場合もあるのも現実ですし、逆に、本当に子供の都合で仕事を休まなければならない事情もでてくるというのも現実。採用条件的に厳しくなりがちです。
養育費を受け取れている母子家庭はごく一部
離別した元夫から養育費を受け取ることができている母子世帯は、2割弱にすぎないことも貧困の大きな要因となっています。本来、離婚しても、双方の親には、子どもが成人するまで養育義務がありますが、養育義務を果たさなくとも、ほとんどの場合、強制的に養育費を取り立てられることもなく、なんら社会的な制裁を受けることもなく放置されているのが現状です。
ひとり親家庭のサポート制度!意外と知らない支援や手当!申請しないと受けられない!?
シングル家庭になったとき、「自分ひとりで、子供を育てていけるだろうか?」「望む教育を受けさせてやれるだろうか?」という経済的な不安がよぎりました。母子家庭には、いろいろな支援制度や手当がありますが、シングルになりたての時は精神的にも全てを理解してテキパキ手続きできる状況でない人も多いようです。
また、多くの制度が、自ら申請したり、行動したりしないと受けれないものが多いうえ、窓口がひとつでないので、役所の人も全てを網羅して案内してくれるわけでもありません。
意外に知らない制度もあったりしますので、ここでは公的制度や支援など頼れる制度をまとめてご紹介します。
利用できる可能性がある制度一覧
- 児童扶養手当(母子手当)
- 児童手当
- 医療費助成制度
- 住宅手当
- 遺族年金
- 生活保護
- 税金控除や国民健康保険税の免除
- 粗大ごみの手数料・上下水道減免
- 貸付制度
- 保育料の免除や減額
- 自立支援訓練給付金
- マザーズハローワーク
児童扶養手当(母子手当)
両親が離婚した場合や、父または母が死亡した場合など、父母のどちらか一方からの養育しか受けることができない、いわゆる母子家庭・父子家庭などのひとり親家庭のために設けられた手当で、地方自治体から支給されます。
支給は、子どもの年齢が0歳から18歳に到達して最初の3月31日(年度末)までの間にある世帯が対象になります。
支給額(月額)
児童扶養手当等の支給額は自動物価スライド制が採用されています。支給月額は平成29年4月分から、0.1%の引き下げられました。
- 全部支給:42,290円
- 一部支給:42,280~9,980円 所得に応じて10円単位で変動
子供の人数と所得によって変わります。
児童扶養手当(母子手当)はいつからもらえるの?
児童扶養手当(母子手当)は、申請が受理された翌月からの計算になります。申請は各自治体の担当窓口でできますが、準備が必要な書類もありますので、月末などに申請する場合は注意が必要です。
支給月は4月(12月~3月分)、8月(4月~7月分)、12月(8月~11月分)となっていて、4カ月に一度申請した口座に振り込まれます。おおむね、11日ごろに支給する自治体が多いようです。
これらの制度は、自動で支給が開始されたり、各自治体から案内が来たりするわけではありません。自分で調べ、自分の足で申請しに行かなければ手当てを受けることができないので、注意が必要です。ひとり親家庭になったら、すぐに各自治体で申請準備をはじめ、申請してください。
児童手当
以前は子ども手当と呼ばれていた制度で、現在は児童手当に改称されています。児童手当はひとり親家庭に限って支給される助成金ではなく、支給対象となる子どものいる全家庭を対象としたもので、国が行っている支援制度です。
児童手当の対象となるのは日本国内に住む0歳以上から中学卒業(15歳に到達してから最初の年度末)までの子どもとなります。扶養家族等の数に応じて所得制限があり、支給金額が変わります。
児童手当の支給金額
- 0歳~3歳未満:1人につき月15,000円(一律)
- 3歳~小学校修了前:月10,000円(第3子以降:月15,000円)
- 中学生:月10,000円(一律)
- 所得制限以上:5,000円(当分の間の特例給付)
児童手当はいつ支給されるの?
支給月は2月(10月~1月分)、6月(2月~5月分)、10月(6月~9月分)となっています。支給日は自治体によって異なりますが、月の中旬ごろに支給しているところが多いようです。毎年、各自治体への申請が必要なので、忘れず申請しましょう。
医療費助成制度(ひとり親家庭)
自治体ごとに行っているひとり親家庭への支援制度で、18歳未満の子どもの医療費が無料になったり、養育している父母の負担額が少し軽減したりなど、助成内容はお住まいの地域の自治体によって様々です。所得制限がある場合がほとんどです。
しかし、ほとんどの自治体で用意されている制度なので、ひとり親家庭になったら自治体の担当部署に相談し、利用可能なら、ぜひ利用してください。
医療費助成制度(乳幼児・義務教育就学児)
こちらは、ひとり親家庭の子どもに限った制度ではなく、支給対象となる子どもがいる全家庭を対象とした医療費助成制度です。国の補助に各自治体が上乗せして独自の助成を行っているため、自治体ごとに内容が異なります。
また、一定の年齢に達するまで医療費が無料になるケースが多いようですが、その年齢基準は4歳未満~22歳までと自治体によってかなりの開きがあります。通院・入院でも違いがあるようですので、詳しくはお住まいの自治体に問い合わせてみてください。
母子家庭・父子家庭の住宅手当
自治体によっては、ひとり親家庭への住宅手当や家賃補助を行っているところや、公営住宅への入居促進をしているところなど、さまざまです。お住いの自治体に確認してみてくださいね。
遺族年金
母子家庭(シングルマザー)の場合には、夫が死亡。シングルファーザーの場合には妻が死亡したときに受取れる年金が遺族年金です。年金額は、加入している年金によって違います。
- 自営業等で国民年金だけの方は遺族基礎年
- サラリーマン世帯など厚生年金加入者は、遺族基礎年金+遺族厚生年金
- 公務員など共済年金加入者は遺族基礎年金+遺族共済年金
遺族基礎年金は子どもによって加算が発生しますが、「子ども」となるのは18歳に到達して最初の3月31日までです。
生活保護
母子家庭(シングルマザー)に限った支援制度ではありませんが、生活保護とは、生活に困っている方に対して、その程度に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障し自立することを目的とした制度です。
支給される保護費は、厚生労働大臣が定める支給計算があります。最低生活費-収入=差額が保護費として支給されます。この収入には、労働による収入や年金、親族による援助等が含まれます。
受給するためには、資産や貯金があるか、親族が扶養できるかどうか、労働ができるかどうかなどさまざまな条件があります。
税金控除や国民健康保険税の免除
寡婦控除
寡婦控除(かふこうじょ)とは、夫と死別し、もしくは離婚した後婚姻をしていない女性が受けられる所得控除です。
控除できる金額は27万円ですが、特定(特別)の寡婦に該当する場合は、35万円です。尚、住民税については26万円を控除、特定の寡婦は30万円が控除できます。
国民健康保険・国民年金の免除
前年より所得が大幅に減った場合や病気で生活が困難になった場合に国民健康保険の軽減措置が用意されています。
国民年金については、所得がない、所得が少なくて保険料を納めることが困難という方は、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除という4つの区分免除が用意されています。
詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。
国民年金は払いないからといって手続きしないで払わない場合には、受給期間に算定されず、将来の年金受取額や受取の有無に影響します。免除手続きを取った場合には、全額免除であっても、加入期間はカラ期間として算定するなどの優遇措置もあるので、ただ、払わないのでなく、お住いの自治体で相談し、手続きをしておきましょう。
粗大ごみの手数料減免や上下水道の減免制度
児童扶養手当(母子手当)または特別児童扶養手当の支給を受けている方や生活保護を受けている方は減額や免除があります。
また、児童扶養手当(母子手当)および特別児童扶養手当を受けている世帯に対して、上水道料金・下水道料金の基本料金等減額や免除してくれる制度です。
こちらも区市町村の制度ですので詳しくはお住まいの市町村役場にお尋ねください。
貸付制度
資金で困っている場合で、20歳未満の子どもを扶養している母子家庭には、母子父子寡婦福祉資金という貸付制度があります。
申請場所は、お住いの市役所等になりますが、実際に金額が振込まれるまでには1ヵ月から2ヵ月かかります。
主な特長としては金利が無利子となっている点です。また、年1.5%の金利を支払う貸付もありますが、連帯保証人をおくことで無利子となります。
一度窓口に問合せをしたことがありますが、当然返済が必要ですし、簡単ではなさそうな印象でしたが、気になる方は早目に相談してみてください。
保育料の免除や減額
保育料については、保育所入所児童の4月1日時点の年齢と保護者の前年の所得税額または住民税額によって決まります。
中でもひとり親家庭で所得が低い市民税非課税世帯については無料や減免としています。詳しくはお住まいの自治体にお尋ねください。
自立支援訓練給付金
こどもが20歳未満の家庭に対して、親の就労を促進のため指定訓練講座を受講し、修了した時に支給される給付金を自立支援訓練給付金といいます。
こちらの制度は、都道府県単位での事業ですので、この事業を実施しているところの都道府県にお住まいの方が対象となります。
教育訓練を受講して修了した場合、経費の20%(4千1円以上で10万円を上限)支給が一般的です。
対象となる講座は、雇用保険制度における教育訓練給付の指定教育訓練講座になります。どんな講座でも対象というわけではないので、事前に給付金の対象講座かどうかも確認が必要です。
マザーズハローワーク
母子家庭(シングルマザー)の母が働くための支援制度の一環としてマザーズハローワークがあります。ハローワークのなかでも、特に子育て中の女性の就職活動サポートに特化した施設です。専門スタッフが職業紹介をしてくれる点は通常のハローワークと同様ですが、子どもを連れていくことができます。また、施設によってはママが相談している間に子どもを遊ばせておけるキッズコーナーや、セミナー参加者用の託児スペースを設けていることもあります。
企業にとっては、ハローワークへの求人情報登録は無料です。ハローワークからの応募で採用したとしても民間求人情報サイトの成功報酬型広告とは違って、ハローワークにお金を支払う必要もありません。
それどころかハローワークからの応募を採用すると企業はお金がもらえるケースがあります。もちろん誰を採用してももらえるわけではではありません。安定した職業に就いていない、母子家庭のシングルマザーや父子家庭の父、生活保護受給者を採用するともらえる「トライアル雇用奨励金」というのがあります。
つまり、母子家庭のシングルマザーを採用することで企業側にもメリットがあることから、一般広告から応募するより有利という場合もあります。就職活動、求職活動には積極的に活用してみるといいと思います。
他にも、知っておいたら安心な制度
交通機関の割引
JRなどの交通機関では、ひとり親家庭を対象とした割引制度が実施されています。例えば、JRでは通勤定期券が3割引きで購入でき、都営交通では無料乗車券の発行、公共バスの乗車賃割引などがあります。割引を受けるためには窓口などで事前に申請する必要があります。
病児託児所
子どもが病気でいつもの保育所に預けられないとき、頼りになるのが「病児保育」です。病児保育は一般の保育所と違い、病気のときだけ一時的に預かってくれる保育施設で、一般の保育所に併設されていたり、病院の中などに設けられていたりします。
最近注目されている「訪問型」病児保育
病児保育は通常の保育所と同じように、施設に子どもを連れて行って預けるのが一般的です。こうした「施設型」の病児保育以外にも、保育士が訪問して病気の子どもの面倒をみてくれる「訪問型」も増えてきています。
病児保育を利用すれば、子どもが病気のときにも仕事を休まなくてすみますから、シングルマザーにとってはとても心強い味方です。特に、実家などに頼れないシングルマザーは、病児保育を確保しておくことをおすすめします。
市区町村が指定する病児保育を利用する場合、シングルマザーは通常より安く利用できるケースがほとんどです。市区町村によっては無料で利用できるところもありますから、ぜひ活用しましょう。
まとめ
母子家庭の世帯数はここ25年で1.5倍に増加しています。そのうち8割が離婚によるものです。
母子世帯の平均年間就労収入は192万円。ただし、母子のみの平均世帯年収は223万円となっていて、児童のいる世帯の平均年間世帯収入658万円と比較すると、母子世帯は44%と収入面ではやはり厳しい状況にいることがわかります。
ひとり親家庭(母子家庭)の支援制度、手当など、ひとり親家庭に限った制度ではないものの含めると12以上の制度や手当が利用できる可能性があります。
ただし、待っているだけで受けれる支援制度や、手当はなく、自ら足を運んで、役所で問合せたり手続きしたり、また各自治体に確認したりという行動が必要です。
一手間かかりますが、長期に渡り利用できる制度も多いため、ひとり親になる事由が発生したら、まず役所と自治体に出向き、相談してみる姿勢を大事にしてください。
その他にも、民間の制度やNPOなど、ひとり親家庭の支援や、子育て支援をしてくれる制度や団体もいろいろあります。
何事もひとりで抱え込まず、早目早目に相談するしせいが大事です。
我が家もシングル、いっしょにがんばりましょう♪