女性が自分は生涯シングルと考えるなら、早めに老後資金の見通しを確認しましょう。一般に女性は男性より長生きなうえ、公的年金の支給額が少ないケースが多いので、年金の不足分を補う「自分年金」づくりは必要不可欠です。
老後の一人暮らし費用として、シングル女性はいくら貯めておく必要があるでしょうか?
年金などを差し引いて、実際に準備しておく金額を計算します。漠然とした不安を抱えるより、備えるべき額を把握することで、不安が解消することもありますし、具体的に行動すべきことが見えてみます。私もシングル、さっそく見ていきましょう。
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シングル女性の老後一人暮らし費用はいくら?
総務省家計調査(平成28年度)によると、60歳以上で仕事を持たずに一人暮らしをしている人の生活費は、ひと月平均で15万6404円がかかっています。
平均額 | |
食料 | 36,200 |
住居 | 12,402 |
光熱・水道 | 12,643 |
家具・家事用品 | 5,512 |
被服・履物 | 4,217 |
保健・医療 | 7,967 |
交通・通信 | 12,480 |
教育 | 27 |
教養娯楽 | 17,374 |
交際費 | 19,172 |
その他 | 15,965 |
非消費支出 | 12,445 |
合計 | 156,404 |
(単位:円)総務省家計調査(平成28年)より筆者が作成
ただし、ここには、住居費が含まれいないので、住宅ローンや家賃が必要な人なら、その分必要な金額は増えます。
女性の平均寿命で考える必要額は?
60歳の女性の平均余命は28.68年(平成26年簡易生命表より)です。60歳まで生きた女性は平均で89歳まで生きると考えられます。そこで、60歳から29年間の生活費を確保すると考えて、このように計算しましょう。
60~89歳までの生活費:15万6000円×12カ月×29年=5428万8000円
つまり一般的なシングル女性の老後の生活費は、およそ5400万円ということになります。賃貸、もしくは老後に住宅ローンが残る人はその分必要額が増えます。
独身女性の年金受給額の平均は?
「平成27年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金(老齢基礎年金)の平均支給額は55,244円となっています。
厚生年金受給額を見てみると、男性の厚生年金(老齢厚生年金)平均支給額は166,120円であることに対して、女性の厚生年金(老齢厚生年金)平均支給額は102,131円になっています。
独身世帯の老後の生活費は平均156,404円であることから独身女性は公的年金だけの収入では大幅な赤字が発生してしまう可能性が高いです。
老後ひとり暮らし、いくら準備が必要か?
女性の厚生年金の平均支給額を元に計算をすると、
- 102,131円(厚生年金)-156,404円(独身女性老後生活費)=▲54,273円
- ▲54,273円×12ヵ月×29年=▲18,887,004円
厚生年金を平均金額受給すると仮定して、約1900万円の不足です。
つまり、老後一人暮らし費用で女性の場合、60歳時点で約1900万円必要ということになります。
実際には、60歳で退職するとすれば、60歳~年金受給開始までの期間は無収入なわけですから、さらに必要な費用は増大します。
逆に、60歳以降も働けば、その分、準備費用は少なくて済むということになります。
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今後を考えると
今回のシュミレーションの前提条件をおさらいすると
- 厚生年金を女性の平均額受給できている
- 家賃・住宅ローンは含まれていない
- 介護状態を想定していない
という、どちらかというと最良の状況でのシュミレーションで必要準備額は約2000万円でした。例えば、筆者の場合、
- 国民年金受給者である
- 住宅ローンが繰上げ返済をしない限り70歳まである
この2点だけ考えても2000万円では非常に困難な状況ということは一目瞭然です。どうすればいいかということになると、
- 働けるうちはできるだけ長く働く!
- 貯金ではなく投資をする!
が鉄則の気がしました。しかも、現役時代のように、バリバリ働く必要はありません。できるだけ長く、年金収入の不足分の約6万円の収入を得ることができれば、元気であればかなり経済的な状況は好転するということです。
まとめ
老後の一人暮らし費用についてみてきました。女性の一人暮らしの場合、女性の平均寿命は長いこと、年金の受給額が男性にくらべ少ない傾向にあることを踏まえ、事前の確認と準備が必要です。
- シングル女性の老後一人暮らし費用は約5400万円
- 国民年金(老齢基礎年金)の平均支給額は55,244円
- 女性の厚生年金(老齢厚生年金)平均支給額は102,131円
- 老後一人暮らし費用で女性の場合、60歳時点で約1900万円必要
ただし、これらもあくまでシュミレーションであり、元気だった場合が大前提です。どちらかというと最良のシュミレーションということです。
大病や、介護になった場合など、老後の一人暮らし費用は見積もりきれない部分もあります。それらを考えると、
- 働けるうちはできるだけ長く働く
これが女性の老後の一人暮らしを少しでも安心して送る秘訣となりそうです。いっしょにがんばりましょう。