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夫婦で住宅ローンを組む方法とそのメリット・デメリットとは?離婚で住宅ローンはどうなる?

投稿日:2017-09-05 更新日:

結婚や出産、子どもの成長といったタイミングでマイホームを購入する方も多いですね。共働きが増える中、夫婦で住宅ローンを組む方も増えています。夫婦円満、幸せいっぱいのときには、双方ともあまり深く考えず夫婦で組んだ住宅ローン。

そもそも夫婦で住宅ローンを組んでマイホームを購入する場合、どんな方法があるのでしょうか。それぞれのメリットとデメリットを確認してみましょう。

ひとたび離婚となると、幸せの象徴だったマイホームのために、想像もしない泥沼事態に発展することも。夫婦で住宅ローンを組んでいて離婚したときにはどうなるか?そのあたりも押さえておきましょう。

夫婦で住宅ローンを組む方法は4通り

夫婦で住宅ローンを組む場合にどのような借り入れ方法があるのか、確認しておきましょう。

組み方住宅ローン控除団体信用生命所有権(名義)
単独債務者のみ債務者のみ加入債務者、担保提供者
収入合算(連帯保証型)債務者のみ債務者のみ加入債務者、担保提供者
収入合算(連帯債務型)連帯債務者も対象債務者、連帯債務者のどちらかのみ加入。または夫婦であればどちらも加入可能債務者、連帯債務者、担保提供者
ペアローンそれぞれが主債務者それぞれが加入支払う分だけ対象

単独

単独で住宅ローンを組むケースは最もシンプル。債務者は夫か妻1人のみで、債務を負う代わりに所有権も100%持つことができます。

収入合算(連帯保証型)

メリットとしては、単独では希望する借入額に満たない場合にも主債務者以外の収入も加味することで借入限度額が拡大するという点です。

デメリットとしては、住宅ローン控除は債務者だけが受けられ、連帯保証人は受けられません。団体信用生命保険も債務者だけが加入し、連帯保証人は加入できません。所有権は債務者、担保提供者のみ。

そうでありながら、債務者の返済が滞れば、連帯保証人にも返済義務が生じますので持ち分はないのに債務は負わなければならないケースに陥ります。

収入合算(連帯債務型)

例えば、【フラット35】で収入合算する場合には、連帯債務型になります。

メリットとしては、夫婦それぞれが債務を負う代わりに、住宅ローン控除も、「持分」を持っていれば個々に受けることができます。

デメリットとしては、基本的には団体信用生命保険は主債務者もしくは連帯債務者のどちらかしか加入できません。

主債務者が団体信用生命保険に加入していた場合、もしものことがあった際は保険が適応され残高全額完済されますが、団体信用生命保険に加入していない連帯債務者にもしもの事があった際は、保険が適用されず住宅ローンは残り続けるというデメリットがあります。

ペアローン

ペアローンの場合は、妻は夫の、夫は妻の債務の連帯保証人となり、夫婦それぞれに住宅ローン契約を結びます。

メリットは、それぞれに住宅ローン控除を受けることができますし、団体信用生命保険も個々に入るという点がありますが、デメリットとしては事務手数料などのコストが2倍掛かるという点が難点です。

離婚すると住宅ローンはどうなるか?4通りのケース!

夫婦が離婚前、もしくは離婚後、住宅を売却して残債を清算し、別々の道を歩むことが出来れば特別問題になることはありません。また、単独債務、連帯債務のどちらであっても、一人でも残債を支払えるだけの収入がある場合も、あまり問題になりません。想定されるケース毎に見ていきましょう。

①不動産を売却し、売却益で住宅ローンを返済する。

離婚の際の住宅ローンの解決方法としてもっともシンプルな方法です。

不動産を第三者に売却し(=任意売却)、その売却益から残りの住宅ローンを返済して、余ったお金があれば夫婦の『財産分与』の対象とします。

もし、不動産を売っても住宅ローンが残ってしまうという場合(=オーバーローン)は、銀行の抵当権も残ったままになってしまいます。抵当権が残ったままの不動産を購入する人はいないでしょうから、金融機関に抵当権を外してもらう交渉(相談)が必要です。

通常は、返済しきれない住宅ローンを残したままでは、銀行は抵当権を解除してくれるはずがないと思われますが、抵当権を解除して任意売却を進めたほうが、銀行にとってもメリットがあると判断される場合には交渉に応じてくれるケースもあります。いずれにしても相談が必要です。

②夫が住み続け、不動産名義も住宅ローン名義も夫のままとする

この方法は、住宅ローンの基本的な条件である「住宅ローンの契約者本人がその家に住み続ける」という形になりますので、銀行的には大きな問題とされることは少ないでしょう。

この場合は、「不動産の時価」から「ローン残高」を差し引いた額を、『財産分与』の対象と考えるのが通常です。逆に、マンションの時価からローン残高を差し引いた額がマイナスの場合も、「負の財産」として、それも財産分与の対象となります。

③妻が住み続け、住宅ローンを妻名義で借り換え、不動産名義も妻に移す

この方法も「住宅ローンの契約者本人がその家に住み続ける」という形になりますので、妻が住宅ローンの借り換えをできる状況にあれば、銀行的な問題となることはありません。

この方法をとるためには妻にもそれなりの安定した収入がなければなりません。新規で単独で住宅ローンを借りる時に匹敵する審査になります。正社員として就業し、返済基準を満たす年収を得ていることが前提になります。専業主婦やパート勤務では難しいでしょう。

④妻が住み続け、不動産名義も住宅ローン名義も夫のままとし、住宅ローンも夫が支払う

現実的には、③は困難なケースが多く、このパターンを希望するケースが多いです。

住宅ローンの返済は夫が続けて行うこととし、その分を財産分与で夫が預貯金を多く分けてもらったり、養育費の支払いを無くすか、少なめにするなどして調整するという方法をとります。

ただし、この方法は非常にリスクを伴った方法であることを認識しておく必要があります。

1つ目のリスク

は、住宅ローンの契約者がその家を出ていくという場合、それを知った銀行が「住宅ローンの一括返済」を求めてくる場合がある点です。

本来、住宅ローンとは、「そのローンの契約者本人が所有・居住するための家」に対して融資されるものだからです。離婚によってその住宅ローン契約者が家をでてしまうとなると、融資当初の条件と変わってしまい、契約違反である、ということが理由です。

2つ目のリスク

離婚後、夫が引き受けた住宅ローンの返済が滞ることになれば、当然銀行は抵当権を行使してきます。最悪の場合、差し押さえから競売となり、結局は自宅を手放すことにもなりかねません。

もし妻が夫の住宅ローンの連帯保証人になっていれば、妻は自宅から転居する必要がある上に、住宅ローンの残債についての支払い義務も生じてきます。

余談ですが、養育費の取り決めをしていても継続的に支払われるのはそのうちの2割とも言われています。住宅ローンは養育費よりもさらに長期に設定されているケースも多いうえ、

  • 夫自身の住居費も発生するため経済的な負担をしいられる
  • 夫が再婚や子どもができるなどの家族構成の変化で経済的な負担がさらに増す

これらの理由で元妻が住んでいる家の住宅ローンの支払いが後回しになって滞る可能性は否定できません。ケースバイケースではありますが、そもそも、感情的には「差し押さえられようが、追い出されようが自分には関係ない!」くらいの場合も多いのではないかと思います。

その主導権は住宅ローン契約者であり家の所有者であり、債務者である元夫が持っているという認識は常に持っておくべきでしょう。

まとめ

 

共働き夫婦が増えている中、夫婦で住宅ローンを組むケースも増えています。住宅を販売する現場で当り前の光景ですが、夫婦円満、マイホーム購入で気持ちが高まっているときには、住宅ローン控除が使えるか使えないか、団信にはどちらが加入できるかなど気にするご夫婦はあるものの、「離婚するときには」という想定をする夫婦はいませんね。

しかしながら、住宅ローンは長期に渡るもの。長い将来の間には予期せぬことも起こります。夫婦で組んだら知っておきたい離婚後の住宅ローンについてお伝えしました。

離婚が決まったからといって金融機関に真っ先に報告に行くのは考えもの。双方のために、事前の対策は立ててから行動したほうがいいでしょう。

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