保険や資産運用で相談するファイナンシャルプランナー(以下、FP)ですが、日本ではまだまだ無料相談が圧倒的多数。無料なら悪いのか?有料なら安心なのか?というと実はそういう区別ではない部分が大きいのが実態です。
また、FP相談の中では「中立」という言葉をよく耳にします。FP相談の「中立」とはどういうことなんでしょうか?「中立=信頼できる」かのような使い方をしているケースもよく見受けられますが中立なら信頼できるのかも検証してみます。
お金の身近な専門家といわれるFPですが、せっかくなら信頼できるFPに相談したいものですよね。FP相談で信頼できるFPを見分けるコツを同業者目線でお伝えします。
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FP(ファイナンシャルプランナー)ってどんな人?
日本FP協会のHPによると、FPとは次の通り。
人生の夢や目標をかなえるために総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く方法を「ファイナンシャル・プランニング」といいます。ファイナンシャル・プランニングには、家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識が必要になります。これらの知識を備え、相談者の夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートする専門家が、FP(ファイナンシャル・プランナー)です。出典:日本FP協会HP
民間資格として日本FP協会が行う試験でAFP及びCFPがあり、国家資格としてファイナンシャル・プランニング技能士(以下FP技能士と略します)3級~1級まであります。試験の実施団体により、それぞれの呼称が異なります。
どの資格を持っていても、また資格を持っていなくても「ファイナンシャルプランナー」と名乗ることは出来ますが、ファイナンシャル・プランニング技能士は国家資格の3級~1級のどれかを持っていないと名乗れません。AFP、CFPという言い方も日本FP協会会員でないと名乗ることはできません。
金融機関や保険会社、保険代理店などに勤務していると会社から資格を取るように指示されるケースも多いし、主婦の方が家計管理やスキルアップのために資格取得されている事も多く、実際にFPの資格を持っている人って、けっこうたくさんいるんですよね。
FPの収入源は二通り
保険代理店等の会社と提携してFP業務をしている場合は、商品を売ることによってコミッションでその会社から報酬を貰っています。独立系のFPは、ライフプランの作成及びコンサルティング業務によってフィーで報酬を貰います。
FP業務だけで、独立して仕事をしている人は、日本ではまだまだ少ないのが実情です。なので、有料でFP相談された経験のある方の方が圧倒的に少数派ですし、日本人は保険加入やライフプランの相談にお金を払うという認識がまだまだ薄いため、業として成り立ちづらいということもあります。それゆえ、「どこかに所属して仕事をする」のが、まだまだ一般的です。
無料は信頼できない!?
相談料が無料であれば、紹介する保険会社や不動産会社などからマージンをもらわければ、FPは収入源がないことになってしまいます。つまり、相談者にとって、相談料がいらないという意味で無料なだけであって、FPには名目の差こそあれ、収入になっているということです。
仮に、保険会社のマージンがA社とB社で2倍違っていたら、FPはどちらを勧めてくるでしょうか?
最近では複数社を取り扱う保険代理店などの募集人に対し、手数料比較で顧客ニーズに合わない商品を提案をしないようあれやこれやと必要書類も増えて、お客様の「意向把握」「意向確認」をきちんとしたかどうか についてかなり厳しい指導が入るようになっています。
ここでは詳しく書きませんが、そういった事もあり、保険募集人の雇用体系や給与体系にも影響が出ているのは事実です。
ですが、手数料や成績の評価の高い保険をすすめられる可能性はゼロとはいえないでしょう。
ただし、保険会社や不動産会社に所属しているFPが全て信頼できないかというとそれもNOです。手数料がどうあれ、本気でお客様本意でお客様のためのコンサルをする保険担当者もたくさんいます。相談者側にも、相手をみる目を養うことも必要なのではと思います。
有料なら信頼できる?
相談料(コンサルフィー)を払ったら相手は信頼できるFPか?というとそんなこともないですよね。
有料相談なら手数料関係ナシに中立な立場から保険を紹介してもらえるんじゃないの?と期待されるかもしれませんが、そうとも限りません。
コンサルフィーだけで食べていけているFPはそう多くないと思います。つまり、コンサルフィーもいただきながら、やはり保険会社や不動産会社などのコミッションなりマージンなりを受け取っているとうことです。
となれば、手数料を一切考えないで中立の立場から相談、というのは少し無理がありますよね。
信頼できるFPの選び方!
FPには、金融機関に所属しているいわゆる販売系FPと会社に所属していない独立系(非販売系FP)の二通りあることがわかりました。
信頼できるFP選びのコツとして、相談料を払ってでも独立系(非販売系)FPに相談すべし!というい意見も見かけますが、保険を扱うFPとしてそうは思いません。その理由は次のとおり。
- 保険を扱わないということは、保険料の算出ができない
- 保障の細かな点や給付の条件の細かな点がわからない
- パンフレットには出ていない商品ごとの規定はわからない
- 給付や保全の手続きができない
こと、保険について言えば、保険が役に立つのは、必要なときにきちんと受け取るべき人に受け取っていただいたとき。給付の手続き、未納の連絡、受取人の変更・・など、必要な場面で、お客様の相談にのったりアドバイスができてこそだと考えるからです。これらは、独立系のFPにはできないことです。
初回面談で、個別の商品説明をしていくるFPは信用できない
家計の状況や考え方、資産運用状況から、仕事の状況、教育方針、将来のやりたいことなど、すべての状況を把握せずに最適な資産運用や保険のプランなど提案できるはずがないのです。初回でいきなり商品の売り込みをしてくるFPは信用しない方がいいです。
事例をあげて、説明してくれるFPは経験値が高い
実際にさまざまな保険プランニングの経験がある方は、どういう状況で給付が受けられるかなどの事例を自身で体験している場合が多いです。この事例の引き出しが多いのか、少ないのかで、場数を踏んでいるFPなのかどうかある程度判断できます。
中立公正な立場を売りにするFPは嘘っぽい!?
そもそも中立公正ですって自分でアピールするFPはあまり信用できないと思います。というのも、複数社扱うFPなら、どの保険会社がカスタマーの対応がいい、保全手続きが早い、保全がしやすいなど、保険会社によって差があることも知っています。
保険料比較だけではない保険の安心を提供できる保険会社をおすすめしたいのはお客様のためでもあり当り前の心情。有料相談、無料相談の区別ではなく、本気で相談者のためを思ったプランニングをしてくれるかどうかです。
自分の意見ばかり押し付けるFPは信用ならない
FPに限りませんが、自分の意見ばかり押し付けてくる人はそもそも信用なりませんよね。FPは営業マンではありませんし当然押し売りするようなFPはNGです。
相談者の夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートする専門家がFPですから、そもそも夢や目標、現状についてしっかり話を聞いて受け止め分析してくれる人でなければなりません。
聴く:話す=8:2ぐらいの割合でしっかり悩みや目標、問題点に耳を傾けてくれる人なら信頼できそうです。
まとめ
保険や住宅ローン、資産運用など最近ではFPに相談するという場面も増えてきました。
FP相談には、有料相談、無料相談がありますが、それぞれ一長一短あり、無料だから信頼できるとか、有料だから信頼できる といった問題ではありません。
また、「中立」を売りにするFPもよく見かけますが、中立が良いわけでもないこともお伝えしてきました。
自分の家のお金のこと、子どものこと、健康状態、親のことなど、たくさんの事を話をしながら相談することになりますし、本来一度きりではなく、毎年、人生の節目節目にプランニングを見直すという場面も出てきます。つまり、長い付き合いになるわけです。
そういった点からも、人として、自分に合うと思った方を選ばれるのが最も良い選択といえそうです。