長期投資では「複利」を味方につければ、お金を大きく増やすチャンスが広がります。
相対性理論で有名な天才物理学者、アルベルト・アインシュタインは「複利効果」のことを「人類最大の発見」「宇宙で最強の力」と言った、という話はあまりにも有名ですね。
そもそも複利効果とはどのようなものなのでしょうか。利益がさらに利益を生んでいく長期投資による複利効果について具体的な数字も交えながら確認してみましょう。
長期投資における「複利効果」が取り上げられる一方で、むしろ複利効果が働かない金融商品が売れ筋になっている実態もあります。複利効果を最大限に享受できる投資法についてもお伝えしてきます。
Contents
単利と複利とは
長期投資における複利効果をお伝えする前に、「単利」と「複利」について押さえておきます。
単利とは
「預けた元本のみ」に利息がつきます。単利は預けた金額、いわゆる元本に対してのみ利息がつくタイプです。例えば100万円預けて年利が10%の場合、1年間の利息は純粋に10万円になります。そして2年目も元本100万円を基本に計算しますので、利息分は10万円になります。そうすると、2年間で20万円ということになります。
複利とは
「元本+利息」に利息がつきます。一方複利の場合は、ある一定の期間ごとに支払われる利息が次の期間の元本に追加されるので、この利息が足された元本をその期間の元本として新たに利息を計算していくことになります。
例えば100万円預けて年利が10%の場合、1年間の利息は10万円ですが、2年目の利息の元本は「100万円+10万円」で「110万円」となります。このため2年目の利息は11万円となり、1年目よりも増えるわけです。単利と比べて、2年目ですでに差が出始めているのがわかります。長期で見れば元本が毎年増えてくるので、利息分もどんどん大きくなります。
投資における複利の効果は、初回の投資収益を、2回目の投資元本として再投資することで、より大きな収益が期待できる点にあります。小さな雪玉を転がしながら大きな雪ダルマをつくるイメージです。まさに「雪だるま式に殖える」イメージなのです。
複利の効果を高めるための2つのポイント
複利効果を高めるためのポイントが2つあります。1つは「運用期間の長さ」、2つめは「利回りの大きさ」です。
長期投資が複利の効果を高める
投資の基本として「投資は若いときに始めるのが良い」といわれますが、それはこの複利効果のことを指します。
例えば1000万円を20年年利3%で運用した場合、20年後には1806万円になっていますが、これを40年運用した場合は3262円と3倍以上の運用成果となっています。
投資の王道は「長期分散投資」であるというのはよく言われることですが、複利の効果を十分に発揮するためには「期間」が必要ということです。
複利のシミュレーション
投資における複利の効果をシュミレーションで見てみましょう。Aさん(30歳)、Bさん(40歳)、Cさん(50歳)の3名がそれぞれ60歳を満期として積立投資をしたとします。
- Aさん:積立期間30年・毎年20万円
- Bさん:積立期間20年・毎年30万円
- Cさん:積立期間10年・毎年60万円
それぞれ積立総額は同じ600万円です。単利であれば、3人とも、同じ結果ということになります。では複利の場合は具体的にどのくらいの差がでるのでしょうか?利回りはそれぞれ年利5%とします。
- Aさん:1328万円
- Bさん:991万円
- Cさん:754万円
実際の結果は上の通りです。総投資額は同じでも長期で複利運用したAさんが圧倒的なリターンとなっています。「投資は若いうちから始めよ」とは、金額は少額であっても複利効果を活かせば大きな金額の運用に勝るということからいわれるんですね。
利回りの大きさが複利効果を高める
運用期間の長さと同じように、運用できる利回りの高さも複利効果を高めます。
アインシュタイン博士は「72の法則」という複利の法則についても絶賛したといわれています。元金が2倍になる年数を計算するには、72を利率で割ればわかるという法則です。
例えば、利率が年6%なら12年となる。ただ、金利を仮に72%とすると(1+72/100)の1乗=1.72となることからわかるように、これはあくまでも簡略な計算法。それでも金利が3%や6%ならほぼ当てはまります。
日本の預金金利0.025%を「72の法則」に当てはめると、資金が2倍になるのは今から2880年後の西暦4897年と気の遠くなるほど先の話になります。長期投資において複利とともに「金利」を味方につけよ!というのはこのためです。
複利の効果がない代表格!分配型投資信託の分配金受け取るのは損!?
投資信託にはファンド毎に「毎月決算型」や「年1回決算型」など決算(分配金支払い)の頻度が定められていますが、なかでも日本では年金生活者を中心に毎月決算型の人気が圧倒的に高い傾向がありました。
毎月口座に分配金が振り込まれることで、年金受取世代を中心に「お小遣い的」「プラスαの年金的」なイメージが強いためと思われます。
投資信託は「儲かっているのかどうかよくわからない」という声が多かったのですが、目に見える形で定期収入が得られると、投資がうまくいっているイメージが強くのこるんですね。
そこで問題なのが、人気の「分配型投資信託」。「毎月決算型は分配金を多く出すことで複利効果を活かすことができず運用効率が悪い」という説を一度は聞いたことがある方も多いと思いますが、毎月分配型投資信託の分配金を受け取らず再投資していけば、すごい複利運用になるのではないかと感じる方もあるかもしれません。
結論から言うと、残念ながら毎月分配型投資信託の再投資をしても、そのような複利効果は生まれません。
そもそも複利運用とは元金とは別に支払われる利息を再投資すると効果が出るものです。しかし、毎月分配型投資信託の分配金は元金(純資産)を削って支払われるものが数多くあります。元金を削って受け取った分配金を再投資しても複利にはならないのです。
投資家は「利息」と「分配金」の違いを理解する必要があります。「利息」は支払われても、元金は減りませんが、投資信託の「分配金」は元金を削って支払われることが多々あることをまず理解する必要があります。
つまり、人気の毎月分配型投資信託では「人類最大の発見」複利の効果が出ないばかりか、毎月分配金は受けてれていても資産は目減りしていて気がついた時には資産が半減していた!なんてことにも十分あり得る話なのです。
まとめ
複利の効果についてまとめてみました。そもそも金利には「単利」と「複利」があります。投資における複利効果は絶大でまさに雪だるま式に殖えるイメージです。
複利効果を高める2つのポイントは、「運用期間の長さ(時間)」「利回りの大きさ」です。複利効果は、長期で高い利回りで運用するほどその効果は大きくなります。
人気の分配型投資信託は、実は複利の効果が見込めない代表格の商品です。そのことも理解して投資先として選んでいる方はいいのですが、まずは投資家は「利息」と「分配金」の違いを理解して、目に見える定期収入に惑わされることなく自分の目的に合った金融商品をえらぶ力を身につけていきたいものです。
投資をするなら、複利の効果を味方につけましょう。