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退職金運用銀行で相談は危険!?失敗しないために押さえるべき3つのポイント!

投稿日:2017-09-15 更新日:

老後資金を貯めることは簡単ではなく、年金だけでは生活費にも不足するという昨今において、退職金をいかにして運用し、老後資金を殖やすかは退職金を受け取る多くの人の重要なテーマになっています。

ところが、多くの人は資産運用の経験がまったくないか、あっても、一千万、二千万というまとまった金額での投資の経験がない人がほどんど。多くの人にとって、退職金は初めて手にする大金なのです。

世間では、老後難民とか老後破綻という言葉を目にする機会も増えて、老後に資金が不足すると言われています。「この退職金をなんとか増やして、人生90年時代にも困らないようにしたい!」退職したばかりの人は、焦りにも似た気持ちを抱き、金融機関に相談に向かいます。

ここでは、大事な老後資金を退職金運用で失敗しないために押さえておくべき3つのポイントをお伝えします。退職金運用を銀行で相談するのは当り前と思っている方にはぜひ参考にしていただきたいと思います。

退職金運用で失敗しないために押さえておくべき3つのポイント!

基本的に退職金はリスク運用には向いていない!殖やすより減らさないを意識!

本来、資産運用には、基本的に退職金による運用は低リスク運用が基本です。株や投資信託などで株式投資を退職金で考えるというのは一部ならまだよいかもしれませんが、大部分をこうした金融商品で運用するのはあまり好ましいとは言えません。

投資には絶対的に必要な考え方として「長期分散投資」ということがあります。

  • 地域の分散
  • 商品の分散
  • 通過の分散
  • 時間の分散

これらの分散投資を長期間で行っていくことでリスク分散・リスク軽減していこうとするものです。そもそも、退職金は全てを長期運用できる位置づけではないことを認識する必要があります。

お金は運用しないといけない!の焦りは禁物

「お金に働いてもらう」こういう言葉は資産運用や投資の本などによく書かれていますし、金融機関の営業マンやFPがこぞって口にする言葉です。

ある意味間違ってはいないのですが、これまで投資の経験も知識もない人が「普通預金に入れておくのはもったいないから・・」と金融機関の担当者の言葉を鵜呑みにして「早くに何かに投資をして運用したい」と考える人が少なくありません。

実際、銀行の退職特別プランは退職後1年以内の方という条件があるケースが多く、期限を区切られることで余計に焦って提案された商品を検討もせずに購入するというケースも多いのですが、これこそ失敗の元というものです。

まとまったお金だからといってまとめて運用する必要はない

退職金は初めて手にする大金ともいえる大事な大金。投資の世界であまりにも有名な「卵は一つのカゴに盛るな」の格言にもあるように、いくら利回りが高くて良さそうな商品にみえても1つの商品にまとめて投資は避けましょう。

もっと言えば、退職金プランという名前に躍らされることなく、自分で投資のタイミングを測れるぐらいでいてほしいものです。

たとえば、為替にしろ、相場にしろ、今はタイミングではないというケースがありますよね。でも銀行マンは「じゃあ、当分様子みて普通預金に置いておきましょう」とはアドバイスしてくれないはず。

その時その時、いつ相談にいったとしても、なんらかその銀行が扱っている商品の中から「これがオススメ」と勧めているように見受けられます。もちろん、自分が扱えない金融商品を紹介するはずもないわけで、だからこそ、預ける側もそれなりの知識武装、経験武装をして判断の目を養わなければなりません。

高金利の退職金プラン・退職金キャンペーンのカラクリとは

退職金キャンペーンは、定期預金の金利が上乗せされるタイプと、定期預金と投資信託がセットになったタイプの二つが主流です。どちらにもカラクリがあります。

定期預金の金利上乗せタイプのカラクリとは

そもそも金利とは、お金を一定期間貸し借りする際の値段を率であらわしたものです。

例えば、100万円を1年間借りるとして、そのときに2%の金利を約束した場合には、1年間に2万円というのが、100万円を借りる値段であるといえます。

2%の金利よりも3%の金利の方が「金利が高い」と表現されます。金利を受け取るのであれば、金利は高い方が有利です。

  • A銀行の金利は0.05%。
  • B銀行の金利は0.01%。

B銀行よりもA銀行のほうがトク! と、すぐに比べることができます。これが「金利」という物差しを使うことのメリットです。

では次はどうでしょう。C銀行とD銀行の満期時に受け取る利息で比べてみます。

  • C銀行の1年定期預金は、0.5%の金利です。
  • D銀行の3カ月定期預金は、2%の金利です。

一瞬、D銀行の方がお得な感じがしてしまうのは私だけでしょうか。

実は、金利には1年間ルールというルールが存在します。1年間、つまり12カ月を基準として考えるため、C銀行の1年定期預金の金利は0.5%ですが、D銀行は3カ月定期預金ですから、12カ月のうち3カ月しか預けないのなら、受け取る利息は12カ月の3カ月分となり、実質0.5%になります。3カ月間で2%の利息が受け取れるわけではないのです。

金利上乗せタイプの目的は退職金の囲い込みです。一旦預金してもらって、そのあとは他の運用商品に切り替えてもらってそこで利益を出すのが目的。

利用できる期間は限られているうえ、満期は3か月から半年程度と短いです。上手に活用できればメリットがありますが、そのあとは必ずといっていい程、投資信託などの運用での提案を受けることにはなると思います。

失敗しないためには、自分の意志で意志に添う金融商品を選ぶということ。一度その銀行の口座に入金してあるものだと心理的には余計にハードルがさがってしまうので要注意です。

定期預金と投資信託セットタイプのカラクリとは

投資信託がセットになった定期預金の金利は、7%や8%など高金利で魅力的に見えます。何しろこの超低金利。1年ものスーパー定期の利率が年0.010%(2017年9月15日時点)でしかないご時世に年7%の利率は魅力的です。

ある信託銀行の「運用50」プランの例でいうと、「対象商品と定期預金(スーパー定期・外貨定期預金)を同時にお申し込み※いただくと、定期預金に特別金利を適用いたします。」となっていて、スーパー定期3ヶ月・7%と高金利。

「上記金利の適用は、当初お預入期間(3カ月・6カ月・1年)のみとなり、満期日に同期間で自動的に継続します(継続を希望されない場合は、お手続きが必要となります)。自動継続後は継続時点の店頭表示金利が適用されます。」という条件になっています。

先程の、金利上乗せタイプの項でも說明した通り、年7%ですが、3ヶ月なので預けた金額に対して1.75%ということです。具体的に計算してみると、

退職金500万円を定期預金と投資信託に50%、250万円ずつ運用するとしましょう。

この例で、定期預金金利は、3カ月7%ですが、利息を受け取る際には、20.315%の税金が天引きされるため、実際に振り込まれる利息は、3万4862円です。3カ月間の定期預金とはいえ、この利息が手元に残るのなら投資信託とセットの定期預金もメリットがありますが、落とし穴になるのが、「投資信託とのセット」という点です。

セットの投資信託の手数料が定期預金金利を台無しにする!?

「半分は元本保証の高金利、半分は積極運用!」このように、メリット並べると、あたかもバランスのとれた素晴らしい退職金プランに感じてしまいますが実際のところを見てみましょう。

投資信託とは、運用のプロが私たちのお金を株式や債券で運用する商品で、プロに任せるから安心!と思うのは勝手なイメージ。実際には元本保証でない運用リスクのある商品です。

さらに、投資信託には大きく別けて3つの手数料がかかります。

1つ目は、購入手数料。この購入手数料が窓口となる金融機関の収益になる部分であり、購入する投資信託や金融機関によって、手数料無料のものから4%近くかかる商品まであります。

2つ目は、投資信託を運用している間、必ずかかる信託報酬です。投資信託は運用をプロに任せるわけですから、その運用を行うプロや管理をする金融機関などに支払う報酬にあたります。信託報酬も購入手数料と同じく、投資信託によっていくらかかるのかは変わります。

3つ目が、信託財産留保額です。簡単に言うと、投資信託を解約するときに支払う解約手数料のようなものです。投資信託の売却時に必要になるものと、不要のものがあります。

どの手数料も気にかけなければなりませんが、3つの手数料のうち、退職金キャンペーンで特に注意したいのが、購入手数料です。

先程の退職金キャンペーンを利用するとしたら、250万円分の投資信託を買うことになります。その際にかかる購入手数料が3.78%(税込)ならば、9万4500円の手数料を支払うことになります。そしてこの9万4500円は、純粋に投資信託を発売している金融機関の利益になる部分。

金融機関側から考えると、退職金キャンペーンの定期預金の金利を高く設定していても、実際は、投資信託の購入手数料を受け取るから、金融機関は十分にモトが取れるというわけです。

元々、投資信託で投資をする!と決めていた人ならまだしも、定期金利の高金利に惹かれて予定していない投資信託を購入するのだとしたら、本末転倒です。しかも、同じ投資信託でも、販売窓口によって手数料もまちまち。同じ運用結果なら、手数料は安いほうが特に決まっています。

金融機関任せにしていまうのではなく、自分で調べ自分で決める目を養っておきたいものです。

まとめ

以上、退職金運用で失敗しないためのポイント3点をお伝えしました。退職金の運用を、金融機関で相談することも一概に悪いことではありませんが、高金利にはカラクリがあることも知り、何より焦らないで本当に自分のセカンドライフに合った運用を選ぶべきです。

オススメされる商品があなたにとっていい商品とは限りません。金融機関にとって手数料のいい商品であることも普通にあることです。

退職金という大きなお金を手にした時、浮足立って、失敗した!ということのないよう、思い立った今から、投資の知識や経験を積んでおくことが大切です。

いっしょにがんばりましょう。

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